2021年5月 - :日本から英米の経済学博士課程に出願する女性へのサポート

目的

経済学において、女性の学生・研究者は様々な構造上の障壁により不利な状況に直面していると言われています(Ginther and Lahn, 2004; Bayer & Rouse, 2016; Hengel, 2017; Sarsons, 2017; Allgood et al., 2019; Lundberg and Stearns, 2019; Mengel et al., 2019; Card et al., 2020; Wu, 2020; Dupas et al., 2021; Koffi, 2021)。このような状況を受け、例えば、米国では 、身近なネットワークに仲間やロールモデル、メンターがいない可能性を考慮し、女性や他マイノリティーを対象とした様々なサポートプログラムが開催されています。

わが国においても経済学分野における女性の活躍は未だ限定的となっているのが現状です。例えば2019年学校基本調査によれば商学経済学の博士課程学生にしめる女性比は30%と人文社会科学の中では最も少ない状況です。さらに、やや統計は古いですが、日本学術会議男女共同参画分科会によれば日本経済学会会員に占める女性比は2013年の時点で11%となっています。

当活動は、この問題に取り組み始めることを目的とし、マイノリティの中でも特に女性を対象とした、日本から英米の経済学博士課程進学に出願する際のサポートに主眼を置きます。

注)

“The AAMP aims to increase the pipeline of diverse talent in economics PhD programs and welcomes participation from all groups underrepresented in economics, including but not limited to: Black, Hispanic, Native American, low-income, female, and LGBTQ+ students, students with disabilities, and students who are the first in their families to go to college”

  • 米国経済学会において、LGBTQ + Individualについて、以下のようなリソースがあります。

Committee on the Status of LGBTQ+ Individuals in the Economics Profession

https://www.aeaweb.org/about-aea/committees/aealgbtq

サポート内容

英米の経済学博士課程に所属する学生(以下メンター)が、英米の経済学博士課程進学を検討している学生(以下メンティー)に対し、以下の2トラック制を原則として、情報提供ならびに個別の出願サポートを行います。原則オンラインで行います。

留学検討トラック:留学を検討中のメンティーに対して、少人数のグループをベースにして情報提供やメンティー同士のネットワーク形成を中心にサポートします。授業や出願計画に対するアドバイス、メンターの経済学博士課程出願ならびに学生としての体験を共有します。出願年になった場合は希望に応じて、以下の出願トラックに移行頂きます。

出願トラック:出願中のメンティーに対して、SOP (Statement of Purpose)など出願書類への個別フィードバックを中心にサポートします。

注)

  • 出願トラックにおける書類への個別フィードバックについては原則、毎年4月から1年間のサポートとします(再受験、再チャレンジなどは個別に検討します)。

  • 本活動は英米経済学博士課程に所属するメンターによる、ボランタリーな活動です。したがって、メンターの力量が及ぶ範囲に、募集対象や人数が限定されることをご容赦ください。

  • 経済学博士課程の概要、進学した経緯や準備の仕方、その他疑問については、「経済学 PhD SNL (Saturday Night Live)」、「経済学PhDについて知ろう!」(経済学PhDアウトリーチ企画 2020年冬)などもご覧ください。審査側から見た出願のコツについては、伊神さんによる「経済学PhD応募のコツ 」などをご覧ください。

  • 当サポートは予告なしに変更、停止又は終了する可能性があります。

  • 利用者(メンティー)が当サポートを用いて行う一切の行為について、メンターは責任を負うものではありません。また、利用者が当サポートを利用したことにより発生した利用者の損害及び利用者が第三者に与えた損害に対して、責任を負うものではありません。特に利用者の博士課程合格を保証するものではありません。


募集対象

英米の経済学博士課程進学を検討している、現在学部生(3年生以上)または大学院生である女性

注)

  • 英米の経済学博士課程と限定していますが、メンターの博士課程出願経験と同様の出願形式を取るような隣接分野(ファイナンスなど)と留学先国(カナダなど)においては応募を妨げません。

  • 国籍は問いませんが、サポートは全て日本語で行います。以下にも記すように、キャパシティに限りがあるので、想定人数を上回った場合は、日本国内の学部生(3年生以上)あるいは大学院生を優先します。

  • まだ具体的な出願計画を定めていないものの、今後修士課程進学やプレドクを経てからの英米経済学博士課程への進学を検討している学部生(3年生以上)の応募を大いに歓迎します。ただし、例えば現在3年生の場合、標準的には出願が4~5年後なので、出願時までサポートできることは保証できない点だけご留意ください。

  • 修士課程(MA, MBA, MPP)への出願に関するサポートは行いません。ただし英国においてはMResまたはMPhil(実質PhD課程の1年目に該当)が形式上は修士課程として扱われている場合がありますが、それらのプログラムに出願する場合はその限りではありません。

  • 日本国内大学の正規課程に所属する学部生(3年生以上)あるいは大学院生を優先しますが、海外の学部生(3年生以上)や大学院生の応募も妨げません。経済学博士課程への準備が主眼となっている海外のプログラム(いわゆるプレドクなど)に所属する方の応募も妨げません。ただし、キャパシティに限りがあるので、想定人数を上回った場合は、日本国内の学部生(3年生以上)あるいは大学院生、特に出願予定年が近い方を原則として優先します。

応募時期と手続

随時募集(なるべく早めに応募してください。応募には特に書類の準備やエッセイなどは不要です)

登録フォーム

注)

  • 実名ならびに大学メールアドレスでの参加をお願いします。収集した個人情報は当グループ内で保存し、原則として当プログラムに関連する連絡のみに使用します。

  • ハラスメント対策として原則全てのミーティングを録画します。原則として非関係者には非公開とします。

  • 博士課程受験後、後続の受験生支援を目的に、簡単な体験記の執筆や、SOPなど出願資料の共有をお願いする予定です。頂いた体験記・出願資料は個人情報に注意の上、当グループ内で保存し、利用の際には改めてご連絡させて頂きます。

  • 本企画またはウェブサイトに関するお問い合わせは、 econ.phd.japan.outreachアットマークgmail.comにお願いいたします。ただし、現役博士課程の学生によるボランタリーな活動であるという本企画の性質上、個別の対応はいたしかねる場合がございます(また、返信もできかねる場合がございます)。あらかじめご理解ください。

メンター(20224月現在)

小栗 洵子(Northwestern大学Kellogg経営大学院博士課程1年

分野:マクロファイナンス

経歴:早稲田大学政治経済学部、政府系金融機関、Yale大学修士、Yale大学プレドクなど

河原崎 耀(University College London博士課程2年)

分野:教育経済・労働経済・開発経済

経歴:東大経済学部、東大経済学修士、アジア開発銀行コンサルタントなど

菊池 信之介(Massachusetts of Institute of Technology博士課程3年)

分野:マクロ経済・国際貿易・労働経済・政治経済

経歴:東大経済学部、外資系コンサル、東大経済学修士など


渋谷 沙紀奈(University of Wisconsin-Madison Department of Agricultural and Applied Economics博士課程3年)

分野:開発経済・応用ミクロ経済・公共経済

経歴:UCLA(歴史・政治)、アメリカン大学国際開発修士、商業銀行勤務、IMF・世界銀行研究助手など

立石 泰佳(University College London博士課程1年

分野:開発経済・政治経済

経歴:東大教養学部(国際関係論)、LSE開発学修士、Yale大学経済学修士、世界銀行コンサルタントなど


星 紀翔(University of British Columbia 博士課程2年)

分野:医療経済・労働経済

経歴:一橋大学経済学部,一橋大学経済修士など

参考文献

Allgood, S., Badgett, L., Bayer, A., Bertrand, M., Black, S. E., Bloom, N., & Cook, L. D. (2019). AEA Professional Climate Survey: Final Report. American Economic Association. https://www. aeaweb. org/resources/member-docs/final-climate-survey-results-sept-2019.

Bayer, A., & Rouse, C. E. (2016). Diversity in the economics profession: A new attack on an old problem. Journal of Economic Perspectives, 30(4), 221-42.

Card, D., DellaVigna, S., Funk, P., & Iriberri, N. (2020). Are referees and editors in economics gender neutral?. The Quarterly Journal of Economics, 135(1), 269-327.

Dupas, P., Modestino, A. S., Niederle, M., & Wolfers, J. (2021). Gender and the dynamics of economics seminars (No. w28494). National Bureau of Economic Research.

Ginther, D. K., & Kahn, S. (2004). Women in economics: moving up or falling off the academic career ladder?. Journal of Economic Perspectives, 18(3), 193-214.

Hengel, E. (2017). Publishing while female are women held to higher standards? Evidence from peer review. 2017.

Koffi, M. (2021). Innovative Ideas and Gender Inequality.

Lundberg, S., & Stearns, J. (2019). Women in economics: Stalled progress. Journal of Economic Perspectives, 33(1), 3-22.

Mengel, F., Sauermann, J., & Zölitz, U. (2019). Gender bias in teaching evaluations. Journal of the European Economic Association, 17(2), 535-566.

Sarsons, H. (2017). Recognition for group work: Gender differences in academia. American Economic Review, 107(5), 141-45.

Wu, A. H. (2020). Gender Bias among Professionals: An Identity-Based Interpretation. Review of Economics and Statistics, 102(5), 867-880.